能登町定住促進協議会

コラム

column

有限会社柳田製網

有限会社柳田製網

募集人財:魚網仕立工

代表取締役
谷坊 美明さん

定置網などの「漁網」を製造するホクモウ株式会社のグループ会社。国内外に出荷する定置網を製造しています。漁業を支える網製造の担い手を募集しています。(2016年8月)

ご両親の代で創業されたのですか?

母親が創業しました。元々、沿岸漁業の漁法のひとつ「刺し網漁」の網を作っていました。その頃、オイルショックが起こり、網の価格が高騰して仕事がなくなってしまったんです。そこで当時の柳田村(現能登町)山口村長が「定置網漁」の製網会社に注目し、北陸製網(ホクモウ)を紹介してくださいました。それから定置網をつくるようになり今に至ります。

現在、ホクモウは定置網製造シェア100%。弊社はグループ会社として、定置網の修理・製造を担っています。網の修理より新品の製造が圧倒的に多く98%を占めます。

家業を後継するためにUターンされたのですか?

そうですね。私自身は20代の頃は証券会社で働いていました。1987年に起こったブラックマンデーから仕事に違和感を覚え、地元に戻ってきました。まさか製造業をやるなんてゆめゆめ思わなかったですね。

この仕事に入って一番初めに驚いたことは、長さの単位が「鯨尺(くじらじゃく)」だったこと。寸(すん)、尺(しゃく)、間(かん)のように、センチやメートルが出てこない。まるで外国語のようでした。網は多種多様で、それぞれの漁場でそれぞれ形が違います。図面に沿って組み立てるのですが、作業の段取りなど一通り完璧にこなせるまでに6年かかりました。手作業ならではの加減もあり、網の寸法の遊びが潮の流れの抵抗にも関わってきます。その微妙な加減は、やはり経験ですね。やりだすと非常に面白いところです。

定置網の需要はどのくらいありますか?

1年を通して大まかなローテーションがあります。ちょうど今(夏)は北海道の鮭漁の網を作っています。秋は富山湾のブリ網。冬にかけて島根県など日本海側の網。それがひと段落する春は千葉県房総半島など太平洋側の網を作ります。その間に飛び込みの仕事が舞い込みますので、仕事が途切れることはないですね。

日本各地からの注文のほかに、仲介会社を通じてポルトガルやチュニジアなど海外にも輸出されています。

担い手はいらっしゃいますか?

定置網は、魚を「待つ漁」です。自然の摂理にもかなっているので環境に優しい漁法として国内外から再評価されています。一方で、定置網を作る会社は国内で10社もありません。同業者が少ないので、この技術がなくなってしまうことを危惧しています。漁師の減少は注目されがちですが、漁場の数やこれからの漁業の可能性からいえば、それを支える網製造の担い手不足が深刻です。

手作業で作られているのですか?

10年ほど前、網の端を折り返す作業をミシンで効率化できないかと設備投資したのですが、やっぱりうまくいきませんでした。微妙な調整は手で縫うに越したことはないですね。うちの従業員は精鋭ぞろいですので。

どういった方が働いておられますか?

従業員のほとんどが女性です。下は20代から上は76歳の社員さんも活躍しています。手作業ですので熟練すればするだけの仕事をされます。定年が過ぎた方でも、ご本人が働きたい意志があれば働いてもらおうと思っています。小学生くらいのお子さんをお持ちの社員さんも多く、学校行事やお子さんの病気の時などは非常に休みやすい環境だと思います。

また、来年春に新しい社屋の建設を計画しています。職場環境の改善と、網がだんだん大型化しているので、今までの工場では手狭になってきました。

手作業が好きな方にはうってつけの仕事です。

以前、特別支援学校の生徒さんを雇用したことがありました。1つの仕事を徹底的に教えたら、そしたらもう素晴らしい芸術作品を作るんですよ。時間はかかっても寸分の狂いもなしにきれいに仕上げてくれるんです。ですから、例えば対人関係が苦手な方でも、ある程度のコミュニケーションさえ取れればこの仕事では十分活躍できると思うんです。流れ作業ではないので、1つの仕事を完結できることでやりがいにもつながるような気がします。

興味がある方がいらっしゃれば会社見学、仕事体験も受入れできます。

事業データ

有限会社 柳田製網
(第1工場)能登町字石井4字16-3番地
(第2工場)能登町字石井12-3番地
TEL. 0768-76-1136 FAX. 0768-76-0393