能登町定住促進協議会

コラム

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百楽荘

真のおもてなしを追求し続ける、
世界基準のラグジュアリー旅館。

旅館業
百楽荘

 

都会の喧騒から離れて、能登の自然や味覚にどっぷり浸りたい。
そんな客人の期待に応えながら、こだわり続けた「人づくり」。
倒産寸前の旅館から、世界のエグゼクティブが注目するまでに成長した高級宿が、次なる目標にするものとは。


 

「百楽荘」とはどんな旅館ですか?

能登半島国定公園内にある旅館です。職人が3年かけて手彫りした洞窟風呂のほか、釣り桟橋や遊歩道など、自然とのふれあいが楽しめる施設を備えています。能登の自然と食を存分に楽しみたいと、リピートや連泊するお客様が多いのも特徴です。

 

2015年に「楽天トラベルアワード 北陸エリア」で金賞を獲得するなど、ここ数年で全国的に名が知れ渡るようになりました。

2008年にリニューアルするまでは、だれもが倒産すると噂する廃屋寸前の旅館でした。それから団体の旅行者ではなくインターネットを中心に個人旅行者にターゲットを絞って、お客様に喜んでもらえるような改装やサービスの強化を繰り返しました。

 

 

年間どれくらいの旅行者が宿泊するんですか?

年間にすると約23,000人。都心部のホテルなどと比べると突出した数字ではありませんが、宿泊者がゆったりとくつろげる空間づくりを目指しているので、部屋数を考えるとこれくらいが限界なんです。おかげさまで27ある部屋はつねに高稼働。経営方針がスモールラグジュアリーを追求する路線へと切り替わって以降、10年以上にわたって増収増益を達成しています。

 

能登を代表する旅館として、どんなことを心がけていますか?

宿泊料は35,000〜100,000円と決して安くはありません。その分、お客様の心をしっかりと掴んで、真のサービスを追求することを心がけています。接客に対するクオリティを向上させることで、お客様に還元していきたいと考えています。

 

ホテルや旅館などの宿泊業は離職率がとても高い職業だと言われています。現在はどれくらいの人たちが働いているんですか?

従業員は100名ほど。地元(能登)出身者は約6割ほどになります。じつは当旅館も一時期は入っては辞めての状態が続いていたのですが、従業員の若返りを図ってからは先輩後輩の信頼関係がしっかりと構築され、定着率が非常に高い旅館となりました。スタッフ全体が余計なストレスを感じることなく働くことができているんだと思います。

 

 

来年度(2019年)の新卒採用数はどれくらいを予定していますか?

17名です。高卒が10名、大卒が7名。高校生は能登に限らず、金沢からも採用する方針です。現在、働いている従業員の中にはインターネットで「百楽荘」の存在を知り「私はこの旅館の女将になるんだ」と、高い志を持って入社してきた県外出身者もいます。「百楽荘」の考えとして「一族には一切経営を譲らず、社員に経営を譲る」というものがあります。経営者を育て、新しい旅館を増やし、次々と経営者を輩出していきたい。それは日本の伝統文化である旅館業を未来に残すため、旅館業界の繁栄を支えてくれる若者へと次のステージを用意することが私たちの使命だと考えているからです。縁もゆかりもない旅館でも、実力さえ身につけば女将や経営者になることだってできます。

 

働いている従業員さんは20〜30代が中心。若者の力によって旅館が支えられている印象があります。

私が入社した当時(2006年)は経営的な問題を抱えていると同時に、従業員の高齢化も問題になっていました。その前後から「若返りをしないと旅館が存続できない」ということで、まずは将来を見据えて毎年地元の高校生を雇用することに決めました。それまでは新しい人材を雇用する経済的な余裕もイチから教育する時間的な余裕もありませんでしたが、それでも少しずつ地道に続けていくことで自然と新陳代謝が始まり、現在の20〜30代が中心の編成となりました。もちろん旅館業には縦社会ならではの慣習や考え方もあるので、若者たちがそれに慣れるまでは心のケアに配慮するなど、若返りを図る上で相応な努力はしました。いつかは働きやすい環境になると一致団結しながら目の前にある課題をクリアしていくことで、若い従業員たちのモチベーションを保つことができたんだと思います。

 

 

従業員同士が仲良く働くための秘訣はありますか?

ちょっと変わった仕組みとして、従業員同士で飲みに行く場合は会社が費用を補填するというシステムがあります。月に1回。6名以上が参加する飲み会になるとひとり頭4,000円が支給されます。旅館という休みのない業態のため、従業員同士がプライベートを共に過ごす時間がなく、普通の会社でいうアフターファイブもありません。それまでは後輩が先輩に相談するという機会自体がなかったんです。このシステムを導入してからは、従業員から自発的な意見が生まれるようになりました。職場の結束力を高める良いアイデアだったと思います。お客様に幸せを提供する旅館業だからこそ、サービス提供の主体となるスタッフが幸せでなければならないというのが当社の考え方。そのためには風通しの良い職場環境であり、年齢や経験に関わらず自由な発想で新しいことにチャレンジできる環境も必要なんです。

 

能登町のためになにか取り組んでいることはありますか?

数多くのお客様に泊まっていただき、能登町の魅力を伝えたいという気持ちはあります。ただ、おかげさまで客室の可動も高く、旅館単体としてこれ以上動員を増やすのは難しくなってきました。そうなったときに何ができるかといえば、能登町の将来を担う「人」を育てることだと思うんです。

 

具体的にはどんなことをしていますか?

すべてのお客様に高いレベルのおもてなしを提供するため、スタッフが一丸となって真のサービスとは何かを日々真剣に取り組んでいます。現場レベルでは、能登の魚が美味しい理由など、能登の普遍的な魅力を語り継ぐことができる人材を育てたいと思っています。そのためにはまず自分自身が能登町の中に好きな場所を見つけるのが大切。なので、従業員にはなるべく休日を使って町の中を散策することを勧めています。能登町ならではの自然や文化、風習、人柄など、そういった部分を楽しみながら深掘りしていくことで、自身の生活も豊かになると思います。これは能登町に限らず、田舎で暮らすには大切なことだと感じています。

 

旅館に併設される釣り桟橋では毎年、ヒラメやクロダイの稚魚を放流するイベントも開催しています。

九十九湾の漁獲量が減っていると聞き、6年前から保育所の子供たちを集めて放流会を開くようになりました。九十九湾の資源をより豊かにすることを願ったものですが、じつは能登で暮らす子供たちの将来に向けた企画でもあるんです。能登の自然の素晴らしさを知ることで、自分たちの町を誇りに感じるきっかけにならないか。子供たちの教育にも関わることで地域に根ざした活動ができればと思っています。いつか百楽荘イズムを引き継いだ若者が、経営者として羽ばたいていく姿を見てみたいですね。

 

 

2016年から湯涌温泉の旧戸田屋を改装した「金沢湯涌温泉 百楽荘」、2018年からは旧秀峰閣を改装した「本館彩心(いろは)」を営業。2019年の夏には、金沢の中心街(懐石つる幸跡)にて、新館をオープンさせる予定だと聞きました。

スタッフの確保を能登だけで賄うのは難しい現状。そのためには新たな宿を県内外に確保して、スタッフを採用しながら能登で3年ほど働いてもらうような人事ローテーションを組む必要があります。これからは4館の運営を軸としながら、地域の雇用と活性化に貢献することを目指していきます。

 

 


わずか10年で北陸屈指の人気を誇る高級宿へと急成長した「百楽荘」が、次なるミッションに掲げるのは経営者の育成。会社の人づくりから、地域の人づくりへ。都会では達成できない「キャリアアップ」の形がここにある。


 

 

 

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