3月23日、能登町真脇の宿泊施設「真脇ポーレポーレ」で、秘密の(?)ワーケーション体験会がありました。潜入に成功しましたので、レポートしたいと思います!
ワーケーションとは、「仕事(work)」と「休暇(vacation)」を組み合わせた造語です。テレワークなどを活用して、働きながら旅先の豊かな自然環境の中で休暇を過ごしたり、地域との協業を行ったりすることを目指すもの。長引く新型コロナ禍のなか、政府も推進する新しい働き方として関心が高まっています。
能登町では、町外の人が町と関わる新たな入り口としてワーケーション事業に取り組んでいます。この拠点として「縄文温泉の宿 真脇ポーレポーレ」がリニューアルしました。
ワーケーション体験会in真脇ポーレポーレ ▼どんなところでワークできるの? ▼空から能登を見てみよう~ドローン操縦体験 ▼ワーカー同士で交流しよう~プチのと未来会議
どんなところでワークできるの?
”仕事場”となる場所は宿泊研修施設の1階にあります。この「真脇ポーレポーレ」は海を望む丘と一体化するように建っているので、1階でも自然光が差し込みとても明るく清潔感のある雰囲気。窓からは緑も見えます。
パーテーションで仕切られた半個室スペースには、広い机に大きなモニターも常設されていました。移動のときは小さなモバイルパソコンを持ち歩くことが多いので、このモニターに画面を拡張できるのはとても仕事がはかどりました!
ワークスペースにはもちろんWi-Fi完備。プリンタも設置されていて、利用者は自由に使うことができます。
少人数の打ち合わせに使えるミーティングルームもワークスペースに隣接しています。
そして宿泊施設内ワークスペースならではの点が、施設内のレストランが利用できること。ぎゅっと仕事に集中してお腹がペコペコになったときに、すぐ食事ができるのはうれしいですよね。
ランチは能登牛と能登豚を甘辛く味付けした「里山丼」か、海の幸のフライが乗った「里海丼」のどちらかを選ぶことができます。食材はすべて能登産。
「仕事の合間のお食事でも能登を楽しんでいただきたくて、能登の食材だけで作ったこの2つのメニューに全集中しています!」と、「真脇ポーレポーレ」スタッフの橋本さんも熱くおすすめするこの一皿。わたしは「里山丼」をいただきましたが、腹ペコだった体に能登が沁み渡りました。
レストランは海に面しており、穏やかな富山湾を眺めながら食事ができます。
(食事利用時間帯以外は、レストランもワークスペースとして利用可能です)
さらに、宿泊施設内ワークスペースならではの点がもうひとつ。館内の天然温泉も利用できるのです!
明るく開放的な温泉は、体がよく温まり、冷え性や神経痛・関節痛にも効くと好評だそう。仕事で煮詰まった頭もやわらかくほぐしてくれそうですね。すっきりリフレッシュすれば、新しいアイデアがひらめくかも!?
空から能登を見てみよう~ドローン操縦体験
さて、外に出て景色を眺めてみようかなと思っていたところに、今回のワーケーション体験を企画した灰谷さんと山本さん(ともに町役場地域戦略推進室)がススッと登場。
「ドローン…飛ばしてみたくありませんか」
えっやってみたいけど……というか、なんでいきなりドローンなんですか?
「ここ真脇という土地は、縄文時代から豊かな暮らしがあったと考えられています。狩猟が中心だったとされる時代に、他に例を見ないくらい長期間、定住して暮らしていた証拠が残る珍しい遺跡なんです。海があって山があって豊かな暮らしがあって…まさに能登の良さが凝縮された象徴的な土地、いやっ日本のルーツともいえる土地なんですよ!そんな真脇を空から見てみたいと思いませんか?!」(灰谷さん)
「楽しいですよー」(山本さん)
灰谷さんの息継ぎなしの熱弁と山本さんのストレートなお誘いに惹かれて、ドローン操縦を体験させてもらうことにしました。
ここからは、「真脇ポーレポーレ」スタッフの堂上さんからレクチャーを受けます。実機に触る前に、まず空に物を飛ばすときに関係する法律や危険回避策についてお勉強。
そして屋外へ出て、いよいよ送信機を持たせてもらいます!
離陸、上下にドローンを動かし、目印に置いてあるポールを目指して前後左右にも移動。…た、楽しい~!空飛ぶものを動かすのって、シンプルにめちゃ楽しいです!
しかし、緊張するのと風が吹くたびにさらわれそうでハラハラするのとで、着陸するまでドローンから片時も目を離せず。操縦しながらカメラの操作をする難しさもわかりました。
そこでレクチャーしてくれた堂上さんにドローンを操縦していただき、真脇の上空から海を眺めてみたり「真脇ポーレポーレ」を振り返ってみたり。写真や動画も撮ってもらいました。
「ちょっと違う視点からの記念写真って感じで、いいですよね。」ふたたびスッと現れた山本さん。ポツリといいこと言います。
海も山も望むことができ、その豊かさの中に身を置いている記念写真が撮れたら、きっといい旅の思い出になりそうです。
ワーカー同士で交流しよう~プチのと未来会議
ワークスペースに戻り、今回の体験会の最後に「プチのと未来会議」が開かれました。
「のと未来会議」とは、2018年から能登町で開かれている、町民と役場・町外から訪れた参加者がともに未来を描き、対話するプロジェクトです。
「ワークスペースでは、一人一人が持ってきた仕事に集中することももちろんですが、たまたま隣に居合わせた畑違いのビジネスマン同士が交流することで、自分の仕事に刺激を持ち帰ることもできたらよいのではないかと思っています。ただ、ワーケーションのように“たまたま居合わせる”時間が短いときは、交流するしかけがあってもいいのかもしれない、ということで、強制的に言葉を交わすきっかけに『プチのと未来会議』を企画しました」(灰谷さん・町役場地域戦略推進室)
今回は「あなたが東京の人に伝えたい能登の魅力は何ですか?」というテーマで進めることに。
町役場職員や「真脇ポーレポーレ」のスタッフも参加して、少しずつ
「海と山のどちらの体験もできる自然環境や食が魅力だと思う」
「能登の生業を担っている人の顔が見えるところがいい」
「オンラインで興味を持ってもらったり交流できる機会が増えた。でもやっぱり来てもらわないと感じることができない良さも絶対ある」
という言葉が出てきます。
そして話していくうちに、「能登の日常は都会の非日常?」という言葉が飛び出し、
「能登に住んでいるわたしたちが伝えたい能登の良さと、東京の人が味わいたい能登の良さは同じじゃないのかもしれない」
「何を便利と感じ、不便と感じるかの境目も家族の中ですら違う」
と着想していきました。
この場はなにか一つの結論を出して掲げる場ではないので時間が来たところで終了となりましたが、「真脇ポーレポーレ」スタッフのお一人からはクロージングで「自分がお届けしたいサービスと、お客様が求められているサービスがマッチしているかという視点を改めて取り戻した」という声も出ていました。
短い時間でしたが、各自の仕事に何かを持ち帰ることのできた対話になったのではないでしょうか。
この日のワーケーション体験会はここまで。
「真脇ポーレポーレ」を舞台に、仕事に集中する時間と、能登がくれる魅力をたくさん味わえる休暇の時間を、チャンネルを切り替えるように過ごすことができました。
「真脇ポーレポーレ」では、2021年度よりさらに能登での休暇を楽しめる体験メニューを強化してワーケーション利用のお客様をお迎えする予定とのこと。
くわしくは「真脇ポーレポーレ」からの今後の発信にご期待ください!
(文/能丸恵理子)