大雪、さらに断水。雪かきに励み、家に帰れば水もでない、風呂も入れない、そんな過酷な年に我が家は移住してきました。
「こんなこと今までなかったよ」と何人にも言われるくらい、能登町の海側はあまり雪は積もらず、断水の経験も記憶にないくらいで、たまたま不運が重なったのですが、知り合いから水をタンク毎譲ってもらったり、家の前を近所の方が除雪してくれたりと、優しさに触れることのできたほっこりとした日々でもありました。
娘もこれほど雪が積もったのを見るのは初めてで大喜び。そんな姿が微笑ましく、一緒になってかまくらづくりに挑戦し、雪のある生活を楽しみました。
そんな海側生活。今まで住んだことがあるのは日本海の荒波近く。
とくに冬は大荒れ、ザッパーンという波の音が鳴り響きます。
同じ日本海とは思えないくらい、能登町の海はとても穏やかで、なんと上品なんだろうと思ったのが第一印象でした。
初めて通勤した朝、まるで日常を旅しているかのように、心地よいドライブだったことを思い出します。
都会の通勤ラッシュ時の交通渋滞や満員電車の状況とは無縁で、ほとんど信号でとまることもなく、渋滞もなく、海の景色を横目にBGMを流しながらの通勤は、田舎ならではの贅沢な時間です。
ここに住んで生まれて初めて見た生のイカ。イカは白くない。ここでは当たり前のことが今まで知らずにいた、もう驚きの連続です。
友人のボートにのせてもらって釣りも体験。真鯛やアオリイカやブリ。
ここは県内でも有数の釣りのメッカ。
大海原にボートが一つ。ゆっくりゆらゆら心地よく揺られながらの体験。
ほぼ初心者にも関わらず大物が釣れる。何と贅沢な場所なんだろうと。
さらに、ご近所さんからイカやカニやブリをもらい、冷凍庫いっぱいになるくらいもらえるのも漁師町ならでは。
自分で釣ったり、お裾分けで魚を丸ごともらったり。切り身しか買ったことがなかったけど自分で捌くしかない。
地域のおばちゃんやユーチューブから教わり捌いてみる。魚と格闘する姿を見て妻は爆笑、マグロしか食べなかった娘は、今ではブリやイカが大好物に。
新鮮なものを新鮮なうちに食べることができる場所、イカをおいしく食べることを知る町。
愛想がいいとは言えないけど、会話の最後に、にっこり微笑んでくれる内気な漁師町の人々。
そんな方々に囲まれ、娘は友達と思いっきり遊び、自分は海を眺めながら今日も優雅に出勤です。